和差算の演習
和差算の基本的な考え方はこちら(和差算の基本)で勉強しました.今回は和差算の練習問題に取り組んでみましょう.いずれも中学入試ではよく出題されるパターンですから考え方をしっかり確認すると共に,線分図の描き方のポイントもおさえておきましょう.
ではさっそく問題です.
さっそく現在の様子を線分図で表してみましょう.
さて,『お父さんの年齢が太郎くんのちょうど3倍になる』までに□年かかるとすると線分図はどのようになるでしょうか?
ちなみに次のように線分図を描いてしまいがちですが,これでは線分図がうまく活用できません.
太郎くんもお父さんも1年に1才ずつ年をとります.このことは人類皆共通なはずですが,意外と(わざと)忘れている人も多いです.・・・それはさておき,この問題は二人の年齢差は常に変わらない,すなわち『差が一定』な問題であることがわかります.
この場合は,線分図を左側にのばして2つの□を次のように描くと一気に考えやすくなります.
二人の差に注目すると次のようになります.
この図から,
と計算できるので,
□=12-6=6 答:6年後
と求まります.
※この問題のように,『差』に注目する場合は,上の図のように,『差の部分の線分図を下に降ろして描く』ようにすると,図がゴミゴミしないのでおすすめです.
さっそく線分図を描いてみましょう.
・・・?? なにか変です.最初のAとBの所持金を③,①と置いてはみたものの,『400円を渡す』ということをうまく図で表すことができません.
この問題は線分図を描く前に考えなければならないことがひとつあります.
この問題にも先ほどの問題1と同じように『変わらない量』が存在するのです.それは何でしょうか?
もうお気づきでしょう.この問題の場合,二人のお金の『和は一定』なのです.
和が一定の場合は次のように『一本の線分図』で考えるのがわかりやすいです.
すると線分図よりと
が等しいことがわかります.ただし,○と□が入り混じったままでは計算できないのでここは新たに△にそろえてみましょう.
と
が等しいということは,そろえる数としては『最小公倍数』の
が適当です.
このように○は3倍,□は4倍すれば△にそろえることができるのがわかります.では線分図を△で描いてみましょう.
この図より
であることがわかります.
よって最初のAの所持金は,
400×9=3600円
Bの所持金は,
400×3=1200円
とそれぞれ求めることができます.
いかがだったでしょうか.「差一定」,「和一定」の場合とも中学入試での出題頻度は高いです.ただし,問題2のように○と□から新たに△にそろえる,というタイプの問題は少し難易度が上がります.このような問題の場合は全体を『1』とおいて,それぞれの量を分数で表すという方法もあります.この方法だと「最小公倍数にそろえる」という作業がなくなり,考え方としてはすっきりします.慣れてくればその方法で解いてもよいのですが,個人的な経験上,分数で考える方法はある程度上位クラスの子どもでないと理解できない(全体を1にそろえるという発想が難しく,また,分数をどう計算してよいかがわかりにくい)ことから,ここでは最小公倍数にそろえる方法で解説しました.