受験算数アーカイブス

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食塩水と比の基礎知識



食塩水の濃度に関する問題は様々なパターンで出題されます.食塩と水を混ぜる,食塩水を入れ替える,混ぜ方を間違える,などなど.食塩水に関する問題は理科でも出題されるので,まずはその考え方の基本をよく確認しておきましょう.



まずは食塩水に関して確認しておきたい公式です.

  1. 「食塩水の濃度」=「食塩の重さ」÷「食塩水の重さ」
  2. 「食塩の重さ」=「食塩水の重さ」×「食塩水の濃度」
  3. 「食塩水の重さ」=「食塩の重さ」÷「食塩水の濃度」

いきなり式を3つも並べられても覚えられないかもしれませんが,重要なのは1番目の公式です(正確に言うと,公式ではなく「比」そのものです).これさえ覚えておけば2番目と3番目の式は自力で導き出せます.ただし,食塩水の問題では計算量が多くなりがちなので,2番目と3番目の式もサッと出せるようにしておいたほうが良いでしょう.式で覚えられないなら「速さと比」と同様に次のような面積図で覚えましょう.

例えば20gの食塩で20%の食塩水をつくったとします.これを面積図にあてはめると次のようになります.

ここから食塩水の重さを求めるには,面積を縦の長さで割ればよいので20÷0.2=100gであることがわかります.


食塩水の公式に関しては「速さと比」と同様に次のような『テントウムシ』を書くこともあります.

円に縦と横の線を引くことで「テントウムシ」っぽくなるわけですが,「縦線は掛け算」を,「横線は割り算」を表します.よって,わからないところ,例えば濃度がわからないときは,テントウムシの「濃度」の部分を隠してみると「食塩」と「食塩水」が横線に挟まれます.つまり「食塩」÷「食塩水」で「濃度」が求まるという仕組みです.


ただし,この「テントウムシ」を使うことはあまりお勧めしません.なぜなら,テントウムシはあくまでも「公式をわかりやすく表している」だけであり,図そのものには何の意味もないからです.その点,面積図は比の概念そのものを表しており,食塩水の問題で多用するのはもちろん,全分野にも応用できる「価値ある図」だからです.


食塩水の濃度に関する豆知識

算数の考え方からは少し離れますが,食塩水の問題に関しては覚えておきたいことがあります.理科で詳しく習うことですが,食塩を水に溶かすとき,水の温度が変わっても溶ける食塩の量はあまり変わりません.具体的には100gの水に対して0℃では35.65g,100℃では38.99gしか溶けないので,最高でも食塩水の濃度は38.99÷(100+38.99)=0.280・・・≒28%にしかなりません.

つまり,食塩水の濃度を求める問題で,計算の結果40%になった!という場合,その答えは間違っているということです.

ただし,あくまでも算数での食塩水の問題では,答えが28%を超えることもあるかもしれません(出題者がそこまで考慮していないかもしれない)ので,一定の注意は必要ですが,計算の結果が濃度が30%を超えてたら「これはあやしい」と気付けることは大切かと思います.



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