『逆比』は数字を逆にしたものではない?
『比』の考え方は算数においては非常に重要ですが,その際,よく『逆比』という比も登場します.逆比というのは読んで字のごとく,比の前後を入れ替えたものじゃないの?と思っている子ども達も多いですが,実はそうではありません.ここでは『正しい逆比』の考え方を確認してみましょう.
逆比を用いるシチュエーションは多数ありますが,例えば同じ面積の長方形が2つあって,縦の長さの比が2:3であれば,横の長さの比は逆比で3:2になります.
2:3の逆比は前後の数字を入れ替えて3:2というのは間違いではありません.ただし,これは結果的に前後の数字を入れ替えた比と同じになるというだけであって,本来の意味をしっかり考える必要があります.
いま,長方形の面積を1とすると,横の長さは「面積÷縦の長さ」になるので,
となります.
つまり,逆比とは前後を逆にした比ではなく,逆数の比なのです.
逆比で特に注意しなくてはいけないのは連比(3つ以上の比)の場合です.
例えば,次の問題を考えてみます.
面積が同じであれば横の長さの比は縦の長さの比の逆比になります.ここで,逆比=数字を入れ替えた比,と思っていると,答 3:2:1としてしまいがちです.これは正しくありません.
先に述べたように,逆比は逆数の比です.長方形の面積を1とすると,横の長さは
となります.
逆比はそれ単独で『逆比を求めなさい』というような形では出題されません.問題を考える過程に出現するものです.逆比について間違った考え方をしていると,結果的に間違った解答をしてしまう可能性があります.
2数の場合は前後を入れ替えて逆比としても構いませんが,3つ以上の場合はそうはいきません.逆比=前後を逆にした比ではなく,逆比=逆数の比という理解が必要です.