部分分数分解の利用
『部分分数分解』(ぶぶんぶんすうぶんかい)という操作をご存知でしょうか?(やたらと「ぶ」が多いのが変な感じですね…)中学受験算数では「部分分数分解」という言葉そのものは使いませんが,この考え方を利用しないと解くことができない計算問題が存在します.ここではそんな「部分分数分解」を利用する計算問題の例を見てみることにします.
部分分数分解を利用する問題例
次のような計算問題がよく出題されます.
これを以下のように普通に計算しようとすると,通分が大変すぎて計算できません(できないわけではありませんが時間の無駄です).
そこで部分分数分解の登場です.部分分数分解を利用すると例えば次のように計算することができます.
このように分母の掛け算が分数の引き算になります.なんだか騙されたような気分ですがこの引き算を通分して計算するとたしかに正しいことがわかります.
この計算を順に適用すると問題の式は次のようになります.
この式のカッコはあってもなくても同じですが,ここで気付くことがあります.途中の計算は同じ数の引き算と足し算が繰り返されています.繰り返し部分を青線で囲むと次のようになります.
青線で囲まれた部分はすべて同じ数を足し引きしているだけなのですべて「0」になってしまします.それ故,結果的には赤線で囲まれたところしか残りません.ですので,この計算は結果的に,
という単純なものになります.
これは簡単に計算できますので,
となります.
部分分数分解を用いる計算は計算方法を知っていなければほぼ不可能です.今回の問題例のように分母が掛け算になっている計算問題を見たらまず部分分数分解を疑うべきです.ただし,分母は必ずしも掛け算で表されているとは限りません.
最初からこのような形で出題されることもあり得ます.このように不自然な分母を持つ分数の足し算が出題された際も,がむしゃらに通分するのではなく,掛け算の形にすれば何か規則は見つからないかを考えるようにしましょう.